二度目のラブレター

24/24
前へ
/24ページ
次へ
「あれ? レジに誰もいないと思ったら、どうしたの姫野さん。……と、あ、え?央寺くんまでいる」  ちょうどシフトを交代するところだった店長が、通路から棚と棚の間に顔を出して声をかけてきた。  央寺くんは私の目の前まで歩いてきて、真顔で手を差し伸べ、起こしてくれる。私はふらつきながら立ち上がるも、動揺と困惑でお礼すら言えなかった。 「もう上がりでしょ? 着替えてきたら? 俺が店長に説明しとくから」  そっと離された手。央寺くんはそう言うと、店長のほうへと歩いていく。  私は今握られたほうの自分の手を見つめた。あんなに震えていたのに、いつの間にか震えは止まっていた。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

794人が本棚に入れています
本棚に追加