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そして、もうひとつの水音も止まる。
「ひどーい、厳しいよ、ミキー」
遠ざかっていく声に、私はただトイレの水だけを流して個室から出て、手を洗った。再度鏡の中の自分を見て、さっきの女子の言葉を繰り返す。
「自分が“やる”のか“やらない”のか……か」
そう言える彼女は、すごいな。きっと自信に満ち溢れているのだろう。私はダイエットに失敗し続けているのであろうもうひとりの子と同じだ。
頼子に謝ることもできない、本当に言いたいこともいえない。“できる”のか“できない”のか、いやそれよりもっと手前で二の足を踏んでいる。
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