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「まぁ……そんな感じ」
「あ、今、教室戻ってきたじゃん、今町。呼ぼうか? 仲直りするなら手伝うよ?」
「いや……いいよ」
というか、こういうふうに話しかけてくれるのも、正直困る。周囲の女子からの視線が痛くて、また陰口を言われるのではないかと気が重い。
「まぁ、まぁ」
殿村くんはそう言って、これ見よがしに自分の顔を私の顔に近付けた。
実際におでことおでこが当たって、私はとっさに、
「わっ!」
と言って体をのけ反らせて離れる。
反動で、うしろの席に椅子がぶつかり、それがけっこう大きな音だったために周りから注目されてしまった。くすくす笑う声が聞こえてくるような気がする。
「……あ……」
やっぱり私はうろたえて、挙動不審に椅子を戻すも、赤面していくのを止められない。周囲からの目が、怖くてたまらない。
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