二度目のラブレター

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 私は頼子に腕を引っ張られ、教室から連れ出された。あっという間に人気のない中庭にまでくると、ようやく手を離される。そして、くるっと振り返った頼子が、人差し指をビシッとこちらに向けた。 「一週間っ!」  大声を出した頼子は、はあっ、と一度息継ぎをし、 「一週間待ったわ! 一週間も待ったのに、なんなのよ? あの、廊下での情けない声はっ!」  と続ける。 「……き、聞こえてたの?」  廊下で「頼子」と呼び止めようとして、かき消された声のことを言っているのだろう。 頼子は腰に手をあてて、 「聞こえなかったわっ!」  とめちゃくちゃなことを言った。 でも、言いたいことはなんとなくわかった。頼子を呼び止めようとする私の気持ちの強さが感じられなかったということだろう。 「自己評価の低さに、いい加減腹が立つのよ。なんで私が同情で和奈のそばにいなきゃいけないの? 自分だけならまだしも、私の気持ちまで決めつけないでちょうだい。和奈にとって、私ってその程度の人間? そんなふうに見えるってこと? こんな簡単に離れていいの?」
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