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頼子は、私の目をまっすぐ見つめながら問い詰めてくる。私は、その圧力に押されながらも、頼子の気持ちがストレートに伝わってきて、顔がくしゃくしゃになる。
「違う……い、嫌だ」
「じゃあ、もっと早く話しに来てよ! 嫌なことは嫌って言って、違うことは違うって否定して、思ってることとかわかってほしいことがあったら、声に出しなさい!」
「だ……だって……」
背中が中庭の大きな銀杏の木に当たる。ほとんど落葉して裸になったその木に残っていた葉が、ハラハラと私の肩に落ちてきた。頼子はまた一歩踏み出し、落ち葉の乾いた音を足もとに響かせる。
「言い訳しないで! 結論だけ言って」
「き……嫌われたく……ないんだもん、頼子に」
言った途端に、頬を伝った涙。私は口を歪めながら、
「どうすればいいのか……わからないんだもん」
と続ける。
私は、高校二年生にもなって、まるで怒られた子どものようだった。
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