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「か……変わりたいのに、変われない。自意識過剰だってわかってるけど……周りの目とか反応が気になる。何か言おうとすると、私、いつも失敗するもん」
この前の、央寺くんの時だって……。思い出して、また涙がこみ上げてきた。
「わかった。和奈は臆病なんじゃなくて、億劫がっているんだわ。今の自分のままでいいって、自分を変えることが面倒だって、どこかで思ってる」
「そ、そんなこと……」
「だって、変わらなくてすむ理由を探してる。本当に変わりたいなら、失敗することとか恥をかくこととか傷つくことがあって当たり前だもの。それを避けようとしてる時点で、諦めてるじゃない」
私の胸のまん中に、頼子の言葉が刺さったような気がした。頼子は、まだ怖い顔をしている。
「まずは、どんなに小さいことでもいいから、自分をがんじがらめにしていることを話してよ。私に嫌われたくないって思ってくれてるんなら、そのくらい信用してよ。……私だって和奈のこと、友達だと思ってるんだから」
頼子はもう眼前にまで来ていた。一切逸らさなかった目には、私を本当に心配して大事に思ってくれている気持ちが映っている。周囲の意見に尻込みして自分自身で頼子の思いを確かめなかった浅はかさに気付く。
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