like like like 逃げるが勝ちさ

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 家に帰ってつつがなく日常生活を営む。  学校から貰ったプリントを保護者に見せるのもルーティンの一つ。  例の顧問のプリントを見て、案の定お母さんは眉間に皺を寄せ、子供に聞かせてもいいと彼女が判断したのであろう悪口で顧問を罵倒し、パートのシフト表をチェックして、OK送って行くわとため息をついた。  それから無遠慮に、他に誰か乗せていく子いる? と聞いてくるので無言で首を横に振り、巣穴に帰るように自分の部屋に潜り込む。  キツイ。  だって一人ぼっちで電車に乗る子がいないように声をかけろってことは、誰にも声かけずに一人で送ってもらう私も、寂しい奴ってことでしょう。    バドミントンは好きだ。  だけどこの環境は嫌いだ。  チームメイトは男子も女子も、顧問ももちろん、わざわざ送ってくれるお母さんも。  平気なフリして、実は全然平気でない私も。  私に付きまとわれて本当は嫌だと思っているコウちゃんも。
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