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夕ご飯の後、さり気ない雰囲気を装ってお母さんが聞いてくる。
「浩介君は? コウちゃんママ日曜仕事でしょ。一緒に乗せてってあげるから聞いてみて」
瞬間、毛が逆立った。
やだやだ、私が啖呵切りたい相手はお母さんじゃない。それなのになんで、ピンポイントで痛いところ突いてくるのよ!
抑えなきゃと思う前に怒りは言葉となって飛び出した。
「何が『聞いてみて』よ。どうせもうコウちゃんママと話ついてるんでしょう。お母さんがそういうことするから、コウちゃん私のこと嫌いなのに言い出せないんだよ! 余計なことしないでっ!!」
怒った私の叫び声に動揺する母のオロオロした声が重なる。
「コウちゃんあんたのこと嫌っていってるの? 直接聞いたの? あんたの勘違いじゃないの? あんなに優しいのに」
あー、もうっ!!
プチっと、心の中にあった細い糸が切れたのだ。そのまま受話器に飛びついた。
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