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走る。はっはっはっはっ。
走る。最初は人を追うため、それから人から逃げるために変わり、そして逃げきった今はまた、コウちゃんを追うための私の世界。
学校からこっちの校区は住宅数が少なく、歩いている人もまばらで、ほどなく目的の背中が見えた。でもまだ声はかけない。隣に行くまで声はかけない。だって逃げられたら困るから。
近づいて近づいて、わぁっ! とその背負っているラケットバッグを叩いた。
コウちゃんと声をかけるよりもハーハーいってる息を整える方を優先すれば、「ちさと、一緒に帰るか」と声がかかった。ああ、やっぱり好きだなぁコウちゃん。色恋の意味じゃないけれど。
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