like like like 逃げるが勝ちさ

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「プリントみた?」 「みた。ユウウツだな」 「私と同じところかな」  選手に選ばれた人にその試合概要のプリントが配られる。日時、会場、集合時間、トーナメント表に入っている自分の名前確認、そして顧問からの注意事項。  今回入っていた言葉は『集合時間厳守。なるべく保護者に送ってもらうように。車を出す人は一人で寂しく電車に乗ってくる人がいないように、周りに声を掛けること』  結局この顧問とはセンスが違うのだ。たぶんクスッと笑いが取れるとでも思っているだろうワンフレーズが棘となり、チクチク突き刺さる。  お母さんにこの手紙見せるの憂鬱だなぁ。また憤慨するだろう。目に見えるようだ。 「何これ? また車で送れってこと? 毎回毎回親の車あてにして、電車で行きなさいよ全く!」  でもお母さんはちゃんと送ってくれる。ありがたいけど、どこの家もがそうできる訳ではない。 「協力しないのに文句ばっかり言っても説得力がないからね。今度保護者会で意見出してやる。車じゃなく皆でまとまって電車で行きなさいって!」  お母さんも私と同じ、顧問とはセンスが合わずよく怒っている。この人は本当に保護者会で意見を出すんだろうな。でもそれをして、私と一緒に電車で行ってくれる女子は現れるのだろうか。
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