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「はー、清心の膝の上って落ち着く……」
「はは、寝るのか?」
「寝ないよ。眠ることはできないからね。ずっとウトウトが続くだけ」
何もせず胡座をかいていると、白露はよく膝枕をねだった。最近知ったが彼はひどく甘えん坊で寂しがり屋だ。甘え上手なのも確かだけど、言葉より目が、声が顕著に温もりを求めてくる。
長い間ここで孤独だった反動かもしれない。たまに心配になるぐらい抱きついて離れないことがあるけど、そのたびに宥めてあやした。
白い世界に溶け込む、肌の白い少年。
触れた瞬間雪のように溶けてしまうんじゃないかと、いつもヒヤヒヤしながら抱き締める。
愛しくて尊くて、宝物のようだった。
友人でもあり、弟のようでもあり────現実にはいない、唯一無二の存在。
“それ以上”の関係を欲したのは罪だろうか。
「ん……っ」
瞼を伏せている白露の唇を奪った。
とても柔らかい。薄桃色の唇……吸い付いたらそのまま啄んでしまいそうで怖かった。
「……これ、何て言うんだっけ」
「キス」
自分は悪い大人だ。この世界では二人きりだから、誰にも咎められない、法にも裁かれないと思ってる。
白露は嫌がる素振りを見せなかった。むしろもっと、もっとと手を伸ばす。その誘惑に勝てなかった。……いや、誘ったのはこっちだけど。
白露の吐き出す言葉はどれも蠱惑的で、頭の奥まで染み渡る。
「俺、清心に触られるのがすごい好き。落ち着くし、何より……胸の中いっぱいになって、嬉しくて涙が出るんだ。何でだろ」
それは自分も知りたかった。
一枚一枚、丁寧に服を奪い取る。熱を持った部分に手を這わせる。
彼とひとつになる。それだけの事で、どうして視界が歪むんだろう。
今までだって何度も男と寝ている。それを繰り返して、抱いた男の数は覚えてない。
なのに何も知らない子どもを抱いて泣いている……自分がひどく滑稽だ。
「ねぇ清心。男同士でこんなことするの、おかしくない?」
脚の間に頭をうずめ、開きかかった入口をほぐしていく。真っ白な彼の、唯一赤みがかった部分。そこを丁寧に暴いていった。
「皆してるよ。……皆、隠れてこういうことをしてる。隠してるだけだ」
悪い事を教えている。
愛を与えた気になって、享楽に耽っている。
欲望のまま彼に触れたい。常識なんてなくてもここでは困らないから。
例えどんな過去を背負っていようと。
「……俺も、男と寝ることは多いし」
そう呟いた時、白露はわずかに眉を顰めた。
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