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「それで、次が――……」
鷹木隊長が他の隊員たちを紹介しようとしたその時、研究チームの1人がぽつりと言った。
「……オウル?」
鷹木隊長は研究員たちの方を向いた。隊長と同じように、研究員たちがそのひとと注目していたから、誰が声を出したのかはすぐにわかった。
1列に並んだ研究員たちの真ん中にいる、黒髪で長身の若者。驚いたように目を丸くして、特殊部隊の方を見ていた。
若い研究員はもう1度言った。
「やっぱり、オウルね?」
その研究員は特殊部隊の方へ駆け出すと、止めようとする隊長の横を素通りして副隊長の前に立った。
じっと副隊長の顔を覗き込むと、研究員はぱあっと顔を明るくして声を上げた。
「やっぱりそうだわ! オウルね! 顔が傷だらけでわからなかったわ!」
隊員たちと研究員たちが顔を見合わせるなか、研究員は副隊長の手を取って嬉しそうに笑った。
「すごい偶然ね。本当に軍人になっていたのね、オウル」
ぽかんとして固まっていた副隊長は、研究員のことをまじまじと見て、やがて言った。
「……カナリアか?」
オウルの手を握り、カナリアは言った。
「そうよ、オウル」
鷹木隊長がやれやれと頭を掻いた。
「仕事だからお見合い禁止って言ったばかりなんだけどなぁ……」
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