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「さて、時間がないからさっさと取り掛かろう。ほら、だから勝手に動き回らない。子どもの遠足じゃないんだから、ねぇ、ちょっと……」
鷹木隊長は隣の研究員に尋ねた。
「ねぇ、金森研究員はいつもあんなに自由奔放なの?」
研究員は苦笑いで答えた。
「ええ、まあ」
鷹木隊長の注意事項を聞いてか聞かずか、カナリアは勝手気ままにアダムの卵を見て回ってチームの輪から離れて行っていた。
鷹木隊長は頭を掻いてオウルに指示した。
「中尉、金森研究員についててあげて」
「わかりました」
「物陰で怪しいことしないように」
最後のセリフは無視して、オウルはカナリアの後を追った。
「中尉」
「なんですか」
振り返ると、鷹木隊長が自分の耳を指さして言った。
「何かあったら、無線で報せて」
「……了解です」
2人が去った後、研究員の1人が当惑顔で鷹木隊長に訊いた。
「大丈夫なんですか?」
「何がだい?」
「その、単独行動させて……」
鷹木隊長は肩をすくめて笑った。
「ああ、心配ないよ」
どこか遠い目をして、鷹木隊長は言った。
「梟澤に任せておけば、充分さ。あいつが付いていれば大丈夫」
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