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カナリアは端末の画面をスクロールさせた。サーモグラフィーで撮影したアダムの卵の画像が映し出され、そこには熱を帯びた球体のなかに、体を丸めた人型の何かが確認できた。
「この中にいるアダムは、まるでひとの胎児そのものだわ。胎児のように丸まり、体が大きくなると、蹴ったりもする」
この巨大な球体の胎動は、そのなかで確かに化け物たちが生きていることを示していた。
オウルがこれまで戦ってきたアダムたちは全て、これと同じものから生まれてきたのだ。ヤツらもかつては胎児だった。あの忌まわしい姿が生まれるまでにも過程があり、そして最もおぞましいのが、その生まれた姿のみならず誕生までの工程までもが、ひとと酷似していることだった。
ひととよく似た遺伝子を盛るアダムたちの卵は、限りなくひとの子宮環境に近かった。それはまるで独立した子宮そのものだったが、この卵たちはオウルたちにある物を連想させた。
端末を操作しながら、カナリアは呟いた。
「まるで、人工子宮みたいね」
オウルは目を細めて蠢く卵を見つめると、視線を引き剥がすように、空を仰いだ。
「ああ……そうだな」
銃を握り締めて、オウルは言った。
「人工子宮か……」
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