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毎年、何だかんだで共に過ごしている幼馴染も、この日は彼女の方に行ってしまったらしく、とりあえずの集合場所にも行ってみたが、時間になっても誰も来ることはなく。
ただ、ひたすら飾り付けされた大きなツリーが、周囲のイルミネーションや雰囲気と相俟って輝き続けているのを、ただ、ぼーっと眺めている。
「……」
何で私は、こんなところでぼんやりとツリーを眺めているのだろうか。
来年はもう受験生だから、今年は目一杯楽しもうと誘ってきたのは彼女たちだというのに、スマホを確認しても、電話もメールなどで連絡が来た形跡すらない。
「……さて、どうしようかな」
きゃっきゃ、といちゃつきながら、恋人らしきカップルが近くを通りすぎていく。
別に顔見知りがいない訳ではないけれど、今日はクリスマス・イブなのだ。他の人たちもそれなりに予定は詰まっているだろうし、余裕がありそうな学校の卒業生である先輩方がやってる店も、お客さんで一杯なことだろう。
「……」
ああ、そうだ。
とりあえず、この場に居たことを教えるために、このツリーの写真を撮って、彼女たちに送っておこう。
そして、私はケーキやチキンを、帰るついでに買っていけばいい。
「まさに、クリぼっちというのは、この事か」
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