プロローグ

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私は中学生になったくらいから、自分のさまざまな欲求の変化に追いつけずにいた。 「彼氏欲しいなあ」 私は廊下でイチャつくリア充を横目に言った。 「うーん、あ、未来(みく)は三大欲求って知ってる?食欲と、睡眠欲と、性欲だったかな、確か。でね、その三つって、どれかが満たされなかったらその他のどれかで満たすことが出来るらしいよぉ」 親友のかれんがお弁当の玉子焼きを頬張りながら言った。 もしそれが本当なら、いいのに。 私の豆粒みたいな一重の目とは違って、かれんは吸い込まれそうな魅力的な瞳を持っている。隣の席のあかねちゃんはしょっちゅう友達と街に出かけたり、一体どこからお金が降ってくるのだろうといつも思っている。バイト漬けの私とはまるで違う。そうだ、私はいつも人と比べてばかりなんだ。ふと、あの人のことを思い出した。
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