偶然の出会い

2/6
前へ
/35ページ
次へ
5月6日月曜日、こどもの日の振替休日。ゴールデンウィーク最終日でもある。17時35分。 京都市内ショッピングモール。 鮫島 由香 (さめじま ゆか)32歳 独身 OLは、買い物を終え駐輪場にいた。 「ええっ」 由香の自転車の前かごに大型書店タカノの袋が入っている。由香はトイレットペーパーとティッシュペーパーを足元に置いてタカノの袋を手に取った。袋の上の真ん中はテープで止めてあるが、傍から中が見えた。ハードカバーの本とチラシも入ってる。買ったばかりなのはすぐに分かった。 「もう誰よ、本忘れたの」 周囲をチラリと見渡して、隣の自転車のカゴに入れちゃおうかな。と良からぬことを思ったが 「あああ、もう」 左手にトイレットペーパー、ティッシュペーパー、そして、大型書店タカノの袋。右手には食料品がたっぷり入ったエコバック。 「最悪だわ、この往復で1キロは痩せないと割に合わないわ」 ブツブツ文句を言いながら、来た道を戻って行った。 ショッピングモール サービスカウンター 「あの、これ落し物というか私の自転車のカゴに入ってたんですが」 微笑みを絶やさない、色白で目がクリンとした受付嬢。     
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加