それは、必然

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缶ビールをゴクゴク喉を鳴らしながら一気に飲んで、流しに空のビール缶が転がった。 「所詮ね世の中はこうなるのよ。キラキラ女子はいい男捕まえるのよ」 また、冷蔵庫から缶ビールとキムチを出して、オレンジ色のドアを開けた。 「えっやだ、今何時」 リビングのソファーで寝てしまっていた由香はお尻からずり落ちた。 リビングは真っ暗。テーブルの上をバンバン叩きながら、やっとリモコンに手が当たった。 「まぶし」 テーブルの上はビール缶が3本転がっている。キムチの蓋も開いたまま。スルメやチョコレートの袋も開いている。 まだ、寝ぼけている由香は状況がつかめていない。壁掛け時計は19時02分。 「ええっ、今日いつ、しっ仕事、鞄は、財布は、携帯は」 リビングを出て台所にすっ飛んで行った。 「ああああ」 玄関にエコバックと小さなショルダーバックが躍動感いっぱいに散らばっていた。 ショルダーバックからスマホを出して、一応日にちを確認した。 「あれから1時間しかたってなかったんだ」 リビングへのドアはさっきと同じオレンジ色だが、自然光から照明光に変わってる。 とりあえず冷蔵庫を開けて、無意識に缶ビールに手が伸びた。 「うわっ、いかんいかん」     
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