1人が本棚に入れています
本棚に追加
残党狩部隊本隊陣営
森の一角を切り開いて設営された残党狩部隊本隊の陣営、四周を斬り倒した木々を利用した柵と逆茂木によって囲まれた陣営の内部では多くの将兵がテントで寝起きをしていたが司令部や厩等の一部の施設については簡易的ながらも木造の建物が完成しており、その事や集積されている資材類の多さがこの陣営が一時的な拠点としてでは無く、恒久的な拠点として運営される予定である事を示す証左となっている。
新たな拠点として胎動を始めた陣営の一角にはこの陣営の中で最も頑丈な造りをした牢屋が存在しており、そこでは虜囚となった旧ヴァイスブルク伯国軍のエルフの女兵士達と昨年勃発したリステバルス戦役の結果、皇女から娼奴隷に身を堕とした旧リステバルス皇国第五皇女アイリーン・ド・リステバルスと彼女と命運をともする事を望みアイリーンと共に娼奴隷に堕ちたアイリーンの護衛騎士クラリス・ド・サジタリオと3人のアイリーンの元侍女、ライザ・ド・オリオーネ、ミナ・ド・フォルゴーレ、フランシスカ・ド・チェンタウロが僅かばかりの薄布を貼り付かせた身体を薄っぺらい毛布に包んで横たわっていた。
凄惨な拷問と凌辱に疲労困憊状態に陥っているエルフの女兵士達は薄っぺらい毛布に包まり泥の様に眠り、アイリーンが痛ましげな表情でその様子を見ていると傍らで毛布に包まっていたクラリスが声をかけてきた。
「……そうとう参っている様ですね」
「……私(わたくし)達をあれだけ嬲り尽くしておきながら更に嬉々としてこれほどの仕打ちを行う、余りの浅ましさに吐き気さえ催しますわ」
クラリスの言葉を受けたアイリーンが怒りに顔をしかめながら応じていると牢屋に向けて近付く気配が生じ、それに気付いたクラリスは顔をしかめさせてアイリーンに声をかける。
「アイリーン様、こちらに近付く気配が、恐らくミランダ殿への拷問と凌辱が終了したと思われます」
「……こんな刻限まで飽きもせず」
クラリスの言葉を受けたアイリーンは呆れた様に呟きながら毛布に包まり、それを確認したクラリスも同じ様に毛布に包まって迫り来る気配を待った。
アイリーンとクラリスが狸寝入りで待ち受けていると牢屋の前に野卑た笑みを浮かべた3人の士官が鎖を手に姿を現し、彼等が手にした鎖が伸びる先ではダークエルフの美女、旧ヴァイスブルク伯国第八騎士団長、ミランダ・フリートラントが四つん這いの体勢を強いられていた。
最初のコメントを投稿しよう!