絶望の監獄

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栗鼠は走り去った魔狼を一瞥した後に先程まで魔狼がいた場所に立ち、数拍の間を置いた後に下生えを踏み拉きながら五メートル程の巨大な蜥蜴、火蜥蜴(サラマンダー)が姿を現した。 火蜥蜴は下生えを踏み拉ながら魔狼がいた辺りを通り過ぎて行き、栗鼠は静かに進む火蜥蜴を見送った。 一方持ち場を走り去った魔狼達は風の様に木々の合間を駆け抜け、外周に散開していた他の魔狼、総計45匹も同じ様に木々の合間を駆けていた。 45匹の魔狼が駆けるその先ではダンジョンから出撃した15匹の魔狼が待ち受け、魔狼達が走り去りがら空きとなった外周警戒網を火蜥蜴やポイズンサーペント、ジャイアントマンティスが次々と通過して行った。 がら空きになった警戒網とそこを容易く通過して行く大型モンスターの集団、勝利と享楽に傲り惰眠を貪る残党狩部隊本隊の陣営に刻々と災厄の刻が迫り、その災厄を演出するアイリスはダンジョン上空で魔王に相応しい凄絶な笑みを浮かべていた。 捕らわれの騎士団長とエルフの女兵士達と娼奴隷に身を堕とした亡国の皇女とその従者達、彼女達が捕らわれている残党狩部隊本隊の陣営は彼女達にとって絶望の監獄、しかし、彼女達はまだ知らない、絶望の監獄たる残党狩部隊本隊の陣営に破滅の刻が迫っている事に……
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