アップルパイと君の隣で

第9章 手料理とやきもち

｢別にそんなことないですけど？シチュー食べてもいいですか？｣

ムスッとした顔をした佳奈が私の前に美味しそうなフレンチトーストとスープを置くとそう問いかける。

｢そりゃあいいけど美味しくないわよ...？｣

見た目からしてそうだが味見をした私は期待を裏切らない味をしていることも知っている。
美味しくないどころかはっきりいってむちゃくちゃ不味い。
それでも無視してシチューを温め直す佳奈はやっぱり食べ物を無駄にしたことを怒っているのだろうか？

｢あの佳奈？別に食べなくてもいいのよ？私が食べるし」

せっかく佳奈の作った美味しそうな朝食があるのだからこんな物を食べる必要はない。

｢私が食べるのでいいです。先輩はそこのフレンチトーストでも食べてて下さい｣

何だか刺があるような拗ねたような言い方だった。
もうさっきから何なのよ。。
私は手を前で合わせるとフレンチトーストにかぶりついた。
美味しい...。