第10章 隣に居たいなんて

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第10章 隣に居たいなんて

「ただいまー」 鍵を開けて灯りをつける。 見渡して見るが人の気配は無かった。 佳奈がいつもだったら夕食を作り始めている頃なのに。 「どこいったのよ...」 私は玄関で靴を脱ぐとリビングへと向かう。 以前までは気にならなかったことが何だか気になる。 この間のケンカのせいか妙に不安な気持ちにかられた。 家に一人でいる時間は長く感じる。 「ただいま戻りましたぁ」 しばらくして聞こえてきたこんな声に胸をなでおろす自分に気が付いて少し恥ずかしくなる。 「おかえり」 「先輩早いですね。記念すべき同棲初日に先輩を迎えられなかったなんてショックです。」 買い物袋を抱えた佳奈がそう言って帰ってくる。 「...買い物?」 「まぁそれもありますけどぉ...知りたいですか?」 「別に...」 何だか煮えきらない返事をする佳奈につれない返事を返す。 どこに行っていたって帰ってきてくれればそれでいい。 「ふーん。。先輩が何だか不安そうな顔をしているように見えたんですけどね」
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