第10章 隣に居たいなんて

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「ふーん。そうですか。私は先輩のそういうところ好きですよ」 「はぁ」 不思議だ。 佳奈は私の思っていることが分かっている筈なのにそんなことを言ってくる。 冷めてるとか嫌な奴だと思うのが普通だと思う。 「実際もどかしくもなりますけどね」 佳奈はそう言って切なげにそれでも嬉しそうに笑った。 もし本当に私が考えていることが全て分かってしまったとして。 そうしたら今私の傍に居てくれる人達や私を好きだと言ってくれる人達は皆離れてしまうだろう。 それは光や小雪も例外ではなくて全部が。 人は多かれ少なかれ自分を作っている。 愛想笑いが上手くなった。心配したり、気配りをしたり。人の悪口言わない。人の相談にのる。 全部を失うと分かっていても変えられたのはそんな表ズラだけで。 でもそれも自分の一部だと思わなくちゃ生きていけない。 彼氏や親友にこそそんな事は言えない。
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