第10章 隣に居たいなんて

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私は気付かぬまに佳奈に気を遣わせている。 私以上に私を理解してくれている佳奈をきっと私は傷つけている。 それを分かったからといって何をどうするつもりは無い。 佳奈はそんな私のいったい何を好きになったのだろうか...? これもさっきのように勘なのかもしれない。 だったら尚更、私なんかに構っていないで他の女に行った方があの子は幸せになれるだろうに。 そんな事を言ったら「それは私が決めることですから」なんて言ってのけそうだ。 あの子が幸せだと言うのなら私がどうこう言えたことではない。 「先輩!お待たせしました」 そんな事を考えていると戻ってきた佳奈が私の腕に嬉しそうに絡みつく。 「ちょっと、佳奈!!」 周りはさっきとは違ってちらほらと人の姿が見える。 「堂々としていれば大丈夫ですって!慌てると逆に怪しまれますよ?」 少し背伸びをした佳奈が耳元で意地悪そうに囁いた。
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