第10章 隣に居たいなんて

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「だからさっきから謝ってるじゃないですかぁ」 佳奈はいい加減に不服そうな声を出す。 まだ左耳だけ微かに温かい。 非があるのはあきらかに佳奈の方だと言うのに納得がいかない。 「あんたねぇ...」 映画が終わって周りの人達が出ていく中幸せそうな顔をして眠っている佳奈。 置いていこうとも考えたが私の中の良心が何とか勝ったのでたたき起こした。 怒りの声を浴びせた佳奈の第一声は「先輩って怒りっぽかったんですね」だった。 誰のせいだ!誰の...! その後佳奈は何度か謝っていたが全く誠意が感じられなかった。 いや、佳奈にそんな物を期待する事自体が間違っているのだろうか? そう思わずにはいられない。 「それに先輩の方にも責任は有りますよ」 「はぁ?」 「先輩が隙が多いのがいけないです。先輩は可愛いんですからちゃんと自覚してくれないと」 佳奈はそう言うと「まぁそこがまた可愛いんですけどね」と付け加える。
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