第10章 隣に居たいなんて

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「はぁ...。もう何でもいいわよ」 私はいい加減に呆れて溜息をつく。 「それから就職の事なんですけど、私グラビアやってみる事にしました」 「えっ?」 いきなりすぎる佳奈の答えに思考が追いつかなかった。 「せっかく先輩が誘ってくれたのにすみません」 佳奈はそう言って深々と頭を下げる。 「いや、別に...」 それは佳奈の選択だし...。 けれど佳奈はウチに就職すると言い出すと思っていた。 私との未来を望む佳奈ならば当然答えは1つだろうと。 私は思えば酷く傲慢で自意識過剰な考えを持っていたものだ。 「確かに少しでも長く先輩の傍に居たいです。でも、それ以上に私は先輩の隣に居たいんです」 何だか気を落としてしまった私に佳奈が語りかける。 「何が違うのよ...?」 傍に居ることと隣に居ることの違いは何なのか私にはさっぱり分からなかった。
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