第10章 隣に居たいなんて

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「そんな事じゃないですよぉ!」 「はいはい」 私はいつもの様に適当に受け流す。 「もぉちゃんと分かってるんですかねぇ。先輩は」 すると佳奈はプクッと頬を膨らませ不服そうな声を出す。 「もう分かったから。早く夕飯にしよう」 そんな佳奈につい笑が零れる。 「まったく、今の先輩の頭の中には夕飯の事しか無いんですから」 「はいはい。悪かったわね」 私の返事に佳奈はぶつぶつと言いながらキッチンへと消えていった。 私はソファーに腰掛けて料理を始める佳奈を見つめる。 佳奈はもう機嫌が直ったのか鼻歌を歌っていた。 隣に居たい...ね。 さっきの言葉を思い出してなんとなく口角が上がっていくのが分かる。 そうして私の視線に気が付き目が合うと佳奈は嬉しそうに微笑む。 「欲張りな事だな、まったく」 ーそんな佳奈にクスクスと笑い出すのは今度は私の番だった。
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