第11章 先輩と家族

10/36

39人が本棚に入れています
本棚に追加
/251ページ
〈颯那サイド〉 「先輩、私のお願い聞いてくれますか?」 「何よ...いきなり」 久しぶりにそんな台詞を口にしてペテン師みたく笑った佳奈にたじろぐ。 「駄目ですか?」 そう言って至近距離で私の顔をのぞき込む。 佳奈の真っ直ぐな瞳がいつになく真剣で逸らすことを許してはくれなかった。 「何...?」 良いよと返事をする代わりに私は話を進めた。 「先輩の事教えてください」 佳奈はそんな私にすぐさま声を重ねた。 「私の事...?」 予想外のお願いに少したじろいでしまった。 「はい」 「ええっと...私の何を教えればいいのかな...?」 まったく意味の分からないお願いだ。 まさか今更自己紹介をして欲しいだなんて言っている訳では無いだろう。 「先輩の過去の事です」 ドックン 「私の過去...?」 「はい。先輩は昔兄弟がいたんじゃないですか?」
/251ページ

最初のコメントを投稿しよう!

39人が本棚に入れています
本棚に追加