第11章 先輩と家族

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〈颯那サイド〉 あれから4日が経とうとしていた。 佳奈は変わらない態度で接っしようとしてくれていた。 私も何も無かったように努めていたと思う。 (過去は無かったことになんて出来ませんよ) それでもあの時の佳奈の言葉が真実であるかのように私にのしかかる。 いや、実際そうなのだろう。 あんなに苦労して無かったことにしたはずの過去でさえこんなに簡単に浮かび上がって離れなくなるのだから。 今、頭の中にあるのは醜いあの女の顔と大切な人の苦しそうに歪んだ顔だけだった。 ーお兄ちゃん 私のたった1人の兄弟。 たった1人の味方。 苦しい時はいつも笑って大丈夫だからって抱きしめてくれた。 ただひたすらに優しい笑顔。 そうやって落ち着けようとするのに歪んだ顔が離れてくれない。 大切な人の最後が脳裏にへばりついて剥がれない。 私が居なければきっとお兄ちゃんは今だってあの時の笑顔のまま...。
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