第11章 先輩と家族

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「それじゃあ颯那ちゃん。またね。今日はありがとう」 「はい。こちらこそ今日はありがとうございました」 私はそう言ってお辞儀をする。 ゆったりと観光をして夕食も食べすっかり遅くなってしまった。 佳奈には夕食はいらないとメールしておいたが私の帰りを待っている気がした。 地元の観光名所なんてわざわざ行ったことが無かったから結構面白かったが。 「じゃあ俺は颯那を送って行くから。ここで」 「颯那さん」 光がそう言って両親と別れようと歩き出すと後から呼び止められた。 その声は光に良く似た暖かい声。 光よりも少しだけ低くて威厳がある。 「息子をどうかよろしくお願いします」 私が振り返るとそう言って頭を下げられた。 「え?」 緊張していたのか口数の少なかった光のお父さんのその言動に驚いた。 「親父!気が早いってば//」 光はそんな父親に照れくさそうだ。
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