第11章 先輩と家族

25/36
前へ
/251ページ
次へ
「温かいっ...」 お風呂に浸かると温かくて、さっきの佳奈を思い出して更に苦しくなる。 どんどん溢れ出してくる涙の正体は分からないままで、佳奈の顔と光のプロポーズとがグルグルと回っていた。 結婚。 最近何気なく考えていたそれがすぐ目の前に迫って来ている。 光と結婚するという事は佳奈との同棲を解消するという事だ。 プロポーズされて1番初めに頭に浮かんだのはこれだった。 光とのこれから...なんて考える事はいっぱいあった筈なのにそれより先に当然のように佳奈とのこれからを考えてしまった。 光との未来を考えると言う事は同時に佳奈との未来も大きく左右する事になる。 光からのプロポーズは嬉しかった。 それでもすぐに頷けなかったのは佳奈の顔がよぎったからだ。 佳奈に対するこの感情が何なのかが見つけられなくて。 友情?愛情?それとも同情なのか。 そうやって私の中をいっぱいにして答えが出ないまま時は過ぎていく。 そんな事を話したらあの子は何て言うだろうか? 佳奈...。 いやいや!おかしい。 そもそも同じ家に住んでるってだけで先輩と後輩の関係の筈だ。 しかも、佳奈は女で彼女ですらない。
/251ページ

最初のコメントを投稿しよう!

39人が本棚に入れています
本棚に追加