第11章 先輩と家族

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「佳奈は私を好きになって良かったって思う?」 「え?」 「この恋を辞めたいって思った事は?」 「それは...!」 「それが答えよ」 どんなに幸せだって言ったって本当はそう思ってる。苦しい気持ちの方が勝ってる。 「辞められるならこんなに苦しくありませんよ」 佳奈は真っ直ぐに私を見つめる。 「辞められるよ。私から離れて私以外に幸せになれる方法を見つけて欲しい」 「無理ですよ。そんなの...私から先輩を取ったら何一つ残らない!!!」 桃色のアスターの花が佳奈が机を叩いた振動で落ちた花瓶と共に嫌な音をたてた。 「佳奈...」 「私は先輩が居たから辛くても頑張れました。先輩の代わりになるものなんて何も無いんですよ...?」 そう言った佳奈の瞳がもう探し疲れたと言っていた。 「それとも先輩は私を殺したいんですか?それが先輩の優しさだと言うのなら今ほどその優しさを憎いと思った事はありません」
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