第11章 先輩と家族

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「世間で言う幸せは本当に先輩の幸せなんですか?先輩は本当は誰が好きなんです?先輩としての幸せは何処にあるんですか?」 私としての幸せ...。 そんな事考えたことも無かった。 「先輩は何を望みますか?」 「私は...っ」 私はただ愛されたい。 私は欲張りで全部が欲しい。 そんな我儘言える訳も無いのだけれど。 「先輩...」 佳奈の手がそっと諭すように私の頬に触れた。 ビクッ 「嫌っ!」 体が震えて私はとっさに距離をとる。 「先輩...っ」 おかしい。佳奈に触られただけなのに...。 あの時のあの女の顔がちらつく。 拒絶された佳奈の気持ちを考える余裕も無い程に呼吸が乱れる。 ガンガンと鳴り響く不協和音。 もう自分で自分をコントロール出来ない。 佳奈の声は確かに聞こえているはずなのに幻のように現実味を帯びていなかった。 嫌だ。
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