第11章 先輩と家族

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この子は私とは違う。 でも...お兄ちゃんとも違う。 ー大丈夫だよ。 あの時のお兄ちゃんの声が遠くで聞こえた気がした。 あの時のここに居てもいいんだと思えた声。 「先輩っ何処にも行かないで...っ」 佳奈の声がすぐ近くで聞こえる。 ゆっくりと佳奈の鼓動と共に鳴り響いていた不協和音が消えていくのが分かった。 「いるよ。ここに居るから」 私はそう言って佳奈を抱きしめ返した。 そんな私の声を聞いて更に泣き出してしまった佳奈を見て私はここに居たいと思った。 何だか愛おしくてたまらない。 どうしよう。 こんな状況なのに...またらなく嬉しいと思うだなんて。
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