第14章 アップルパイと

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私と佳奈はお互い浴衣を来ていた。 大学時代に1度だけ着た薄い黄色に大きな花柄の浴衣だ。髪はアップにして緩く巻いた。メイクはどうせ汗をかくので普段以上にはしていない。 近所の祭りにわざわざ浴衣を着なくてもいいと思っていたのだが「お祭りで浴衣デートがしたいです?」と言って聞かなかった佳奈に押し負ける結果となった。 普段着慣れない浴衣が疲れを倍増させている。 オシャレは我慢だなんて言うけれどもう浴衣はこれっきりにしよう。 「でも、先輩本当に素敵です?」 そしてそんな決意とは裏腹に今日はいつも以上に隣から視線を感じる。 「どんだけ褒めれば気が済むのよ...」 最初に私の浴衣姿にすごい勢いで抱きついてきた佳奈は、それから5分に1回はこうやって可愛いだの似合ってるだのと言ってくる。 「だって!だって!本当に可愛い過ぎて/////」 そう言って微笑む佳奈は桃色の花柄の浴衣に身を包んでいていつも以上に美少女度が増している。 アップで器用に編み込まれた髪と動く度に微かに揺れる髪飾り。 普段は見えないうなじが何だか色っぽい。
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