第2章 初デート

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「今日はこの後どうする?」 私は今日の予定について尋ねた。 「先週公開された映画見に行かない?チケットあるからさ」 光が言っているのは人気俳優と新人女優が主役の恋愛映画のことだ。 話題になっている作品でその俳優のファンの小雪も見に行きたいと言っていた。 私はそんな小雪からの誘いを断っていたのだが 「うん、いいよ」 対して興味がある訳ではなかったが私は頷いた。 せっかくチケットまで用意してくれたのに断るのはしのびなかった。 「よかった~!颯那こういうの好きそうだなって思って、でも断られたらとか色々考えてさ」 光は肩の荷が下りたような声を発した。 やっぱり。 断わらなくて良かった。 「光、緊張しすぎててこっちまで緊張したし」 からかうような口調で微笑む。 「だって、初デートで失敗したくないじゃんか!すっごい考えたんだぞ」 少し拗ねたような口調をしながらも嬉しそうな顔つきをしていた。 可愛い... ちょっとしたことに一生懸命になってくれる光を愛おしく思う。 自然と笑がこぼれる。 やっぱり好きだなぁ。この笑顔。 昨日の夜のことなんて忘れて私はデートを楽しんでいた。 「あれ?先輩?」 再びそんな声が聞こえるまでは。
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