第15章 彼女と彼女

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「大事な忘れ物してました!」 「...?」 そう言って駆け寄った佳奈に首を傾げる。 ちゅっ リップ音がして佳奈の小さな唇が軽く触れた。 「先輩、愛してます。ずっーと」 そして佳奈はそう言って愛おしそうに微笑んだ。 ドクンッ///// この子は本当に...。 佳奈の言動に心が震えている。 そんな自分を認められずにいた。 大切な人を失う事は最も恐ろしい事だから。 だからそんな佳奈を何も言わずに抱きしめた。 サラサラの髪の感触と少し幼い林檎の香り。 また不安に駆られる。 でも、この小さな手を私はもう手放す事が出来ない。 それでも、私なんかよりも不安な筈のこの子が幸せそうに笑うから...。 今は佳奈と共にある今日と明日があればそれでいいと思える。 ーこの子とこの子が愛してくれた私自身を信じてみようと思った。
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