第15章 彼女と彼女

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先の事まで考えるだけの余裕が無かった。 正確に言えば、考える事を放棄してきた。 「向いてないんだろうな…」 そうゆう計画性が少しでも私に有ったら今こんな所にはいなかっただろう。 そして、先輩と共にある今もきっと無かっただろう。 そう思うと自身の欠点だったこの性格も悪いものではない。 未来の事は分からない。 でも、今はとにかく早く先輩に会いたい。 晩御飯は何にしようか? 今日は時間があるし、ロールキャベツなんかいいかもしれない。 先輩好きだし。 おかえりなさいって先輩を迎えて、抱きしめて、キスをねだって。 先輩は呆れながらも私を抱きしめ返してくれて。 そんな日常が何よりも愛おしい。 私はそんな日常にスクっと微笑むと軽やかに駆け出す。 ー私のつまらない日常が先輩の笑顔で染まっていくたび、私は私を限りなく大好きになれた。
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