第16章 甘い思い出

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第16章 甘い思い出

〔颯那サイド〕 どうやったって慣れる物じゃないのだ。 こればっかりはなぁと思う。 「先輩...」 私をベットに押し倒した佳奈が耳元で色っぽい声を震わせる。 「佳奈...!ちょっと落ち着いて」 佳奈と付き合い始めて早1ヶ月。 彼女がいるという生活にも少しづつ慣れてきた。 時々する佳奈の唐突な要求も。 佳奈がどんな人間なのかは大体分かったつもりでいたけれど。 こればかりは慣れない。 私に女性経験などある訳もない。 今まで頑なに拒んできたせいだろうか。 付き合っていて、同棲しているのだから今更とも思えるようなその行為に私は踏み出せないでいる。 「嫌...ですか?」 不安そうな佳奈の瞳が上目遣いで映る。 「嫌ではないけど…」 私はそんな瞳から視線を逸らす。 そう、嫌では無いのだ。 でも、してしまって良いのだろうか?という疑問が心に残る。
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