第16章 甘い思い出

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甘くてとろけてしまいそうだ。 この笑顔を一生忘れたくない。 先輩との思い出は一つ残らず全部覚えていたい。 「先輩」 「ん?」 先輩がクスリと笑う。 そうだ。私はこの笑顔が何よりも... 「大好き」 「どうしたのよ…。いきなり」 だって全部今しか伝えられない事だから。 先輩と居られる今だけだから。 今を何より大切にしたい。 いっそこのままアイスクリームと共に溶けてしまえばいい。 「先輩!思い出作りましょう!やりたい事は全部やりましょう!」 それが無理ならせめて思い出として残してほしい。 先輩が大人になってもふと思い出して笑顔になれるような思い出がほしい。 欲張りな私が一生分生きていけるような物がほしくて。 「佳奈...どうして泣くの...?」 「え...っ?」 私泣いてる...? 頬に当てた指が冷たく濡れていた。
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