第6章 誕生日

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「夏目さんは?」 そんな佳奈に気がつかないふりをして問いかける。 「なんでそこで由香が出てくるんですか」 佳奈はむっとした顔をする。 昼間一緒にいたじゃない。そう言ってしまいそうになり口を閉じる。 「由香に会ったんですか...?」 「私が夏目さんに会うとまずいことでもあるの?」 ちょっと徴発的な口調になってしまった。 「っ...由香に気があるんですか...?」 不安な表情をした佳奈が上目遣いで私を見つめる。 えっ? 「もしかして今日本当に約束してたのは由香ですか...?」 光と約束をしていても簡単に譲ったくせに。 「どうなんでんですか!?先輩」 今にも泣き出しそうな顔をしている佳奈は本当は私じゃなくてあの女のことが好きなんじゃないだろうか。 「そうだったら何?あんたには関係ない」 それならどうして私はこんなに苛立っているのだろう。
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