第1章 先輩キスして下さい。

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「そんな事より、先輩こそこんな所でどうしたんですか?」 両手を後ろで軽く合わせると不思議そうに首をかしげた。 「あぁ、友達が酔っ払って座り込んじゃって、タクシー呼ぶしかないかなって思ってたところだよ」 「...あぁ、これじゃぁ大変そうですね」 私の隣で座り込んでいる小雪を見てそう呟く。 「そうなの、折角久しぶりに会えたのにごめんね」 一緒にご飯でも食べながら話したいところではあるが小雪をこのまま放って置くわけにもいかない。 「ふぅん...。じゃあ先輩今から家来ます?」 「えっ?」 思わぬ返事に声をもらした。 「私の家、ここの近くなんで泊まっていったらどうですか?」 「いいの?」 「はい。先輩にせっかく会えたのに何もしないで別れるなんて勿体ないですしね」 そう言った佳奈はあの頃の人懐っこい性格からは想像出来なかったものだった。 服装やメイクのせい以上にそんな物言いが急に大人びていて変わったなぁと感じ複雑な気持ちになる。 でも、これがこの子なりの優しさなのだと思うと心地よく思っている私がいた。
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