第7章 後輩の幸せ

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〔佳奈サイド〕 私の腕の中で突然何かが切れたように眠る愛おしい人を見つめる。 「先輩...」 髪を撫でるとくすぐったそうに身をよじらせる。 綺麗で眩しくて、それでいて可愛いくて寂しがり屋で放っておけない女。 私の先輩へのイメージはそんな感じ。 (「佳奈が欲しい」) さっきの先輩の言葉を思い出す。 それは先輩の本心であり、本心ではない。 それが分かっていてもどんどん大きくなる気持ちは抑えられなかった。 はまってしまえば面倒で苦しいだけだと分かっていたのに。 「私なんかで良ければいくらでもあげるから...」 だから... 「んっぁ...かな」 「...っ!?」 うわ言に私を呼んで抱きついてくる。 その瞳には薄らと涙が流れていた。
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