第7章 後輩の幸せ

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「先輩♪」 「今度は何よ...」 「私、今幸せです」 一呼吸置くとこの子は私が決して口に出せない言葉をいとも簡単に口にした。 「幸せ...?」 「はい!私これではれて先輩の物になったんですよね?」 佳奈はそう言うと赤黒くなっているそれを愛おしそうに見つめる。 「っ...」 「前に言ったじゃないですか。先輩が私を利用してくれるなら、私を必要としてくれるなら私は嬉しいです」 「それが...佳奈の幸せ...??」 「はい!」 佳奈は朗々と返事を返す。 分からない。 この子の考えている事はいつだって全く分からない。 それでも私はその言葉に救われた気がした。 「あんたは本当に...」 「??あんたじゃなくて佳奈ですってば!」 満面の笑みを向ける。 私はこの時、幸せだと言い切れるこの子を初めて羨ましいと感じた。 私が今までずっと手に入れられなかったものをこの子は持っている。
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