第9章 手料理とやきもち

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「へへっ。いってらっしゃいのキス♪」 そんな調子で満面の笑みを浮かべる佳奈が見えた。 自分がとてつもなく嫌になるのはこういう時だ。 傷ついたのは佳奈の方な筈なのに私を気遣ってそんなことを言う佳奈は私なんかより断然優しい。 見せかけの優しさなんかじゃ到底太刀打ちできない。 「佳奈...ありがとう」 私はそれだけ伝えると視線の隅で狼狽している佳奈に挨拶をして佳奈の「いって...らっしゃい」を耳に焼き付け仕事へと向かった。 佳奈の望みを少しでも叶えてやりたくて...なんて綺麗な感情からじゃなかったこの言葉であの子を繋ぎ止められるのなら... きっと今はこれだけでいい。
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