第一章 反転

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 新年早々、天皇陛下が崩御されたとかで、世の中、大騒ぎして年号も昭和から平成になったけど、世の中なんにも変わらない。今年、四月に公立の高校へ入学したものの、未来は決まっておらず。目の前には埼玉の平凡な田園風景が続いているだけだ。  例の事件は五月連休の前、このときの美樹は未来へ送られていない。  むりやり茶道部に入部させられて、まだ三日目といったところだ。  だが、前回のときとは若干、境遇に変化があった。  一九八九年に入ってから、日々のリハビリにがんばっている。  腕のいい整体師に出会ったおかげで、肩の調子がもどりつつあるのだ。  完治すれば、再び大好きなソフトボールに打ち込むのも夢じゃない。  (中学じゃエースだったんだよ、腹を抹茶でダボつかせる毎日から、ぜってえ抜けだして見せる!)と、野望を抱く美樹だった。 
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