おまけ

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「貴様は私と似て、探究心が強い。 そして、メモリアの襲撃と聞き即座にデータの抹消に向かった。 つまり、理論的には成功するはずの私の実験が失敗した理由。 そして、実際に成功させる方法までも知っていたって事だ」 「その持論が正しいとしても、先ほど見ていた通り、残念ながらデータはもうココにはないだろう」 そういうと、晃は突然高らかに笑い始めた。 「何を言ってるんだ、菅野 秋江(すがの あきえ) 貴様の脳味噌にデータは保存されているだろ?」 やはり、全てがバレていたか。 どうやら、私には選択肢が残されてなかったらしい。 理解した途端、徐々に焦りは消え、気分が晴れやかになっていく。 こうなれば、もうとる手段は1つしかない。 「私も寿命だね」 そういい、意を決して、メスを自分の首に突き刺した。 途端に、走馬灯が脳内を一気に駆けめぐる。 「やめろ、研究員が死を選ぶと言うのは最も恥ずべき行いだ!」 晃の焦る声が聞こえ、私の肩が掴まれた。 成る程、流石メモリアだ、あの距離から一気に詰めてきたか。 メスを更に深く刺し、横に動かす。 晃はそれを止めようと私の手からメスを奪い取り投げ捨てた。 だがもう遅い。 最後は目を守るんだ。 今、ココで目を開けてはならない。 記憶を奪われる前に、早く、早く、頼むから早く死んでくれ。 そう願う中、ふと脳裏に孫娘の顔が浮かんだ。 後の事は、任せるよ。 そうだ、私が死んでも研究は終わる事がない。 今のうちに好きなだけ暴れれば良いさ、いずれ人類はメモリアに完全勝利を迎える日が来る。 それまで、メモリアの生態の真実は決して公になる事は許されないのだ。
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