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記憶に映し出されるのは、幼き姿のあの少女。
その少女はメモリアとしての親であり、命の恩人でもあった。
だが、もうこの世には居ない。
常に持ち歩いている小さな空き瓶の中に1つ、砂の入った小瓶があり、それを取り出す。
晃が飲んだのが、この砂じゃなくて本当に良かった。
そう思い、小瓶を両手で祈る様に握り締め、額に触れさせる。
赤黒く染まる記憶の中、砂となったマリアンナの近くで不気味に微笑むオッドアイの男。
忘れもしない、忌々しい記憶。
そこから湧き上がる、憎悪は今も俺の中を蠢き油断すれば全てを飲み込みそうな勢いで膨れ上がった。
悲しい、辛い、苦しい、憎い、憎い、憎い!
感情が高まると同時に覚える激しい飢えに、俺は慌てて研究室内の端にある蛇口を回すと流れ出す水に直接口を近づけて、一気に飲み込む。
落ち着け、冷静さを欠いて仕舞えば、奴の思う壺だ。
俺はあんな奴に屈しない。
必ず見つけ出して、確実に殺してやる。
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