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眠らない街の夜、人が行き交う道を歩き続け、更に奥へと足を運ぶ。
ココは以前餌として晃が傀儡となり、歩いていた道でもある。
向かう先は勿論、俺が殺したメモリアの砂が有ると思われる場所だ。
ある程度は掃除されているだろうが、見た目が砂である為道の端に少しでも残っている可能性は充分にあると思い、今更行動を起こしたのだが、なかった場合は若干面倒だな。
晃が俺からビンを奪ったせいで、俺の手元にはあの男の亡骸はない。
手ぶらだと確実に揉める。
「んーコレは……」
目的地で有る場所から予想外の声が聞こえて、条件反射の如く裏道手前で建物に背を向け、その場で身を隠した。
表の活気ある空間から突如切り離されたかのような薄暗いそこは、基本人が滅多に寄り付かない場所である筈だったが、コレは随分とタイミングが悪いな。
不安を胸に奥を慎重に覗き込むと、ふたりの男の後ろ姿が見えた。
顔はココからでは確認出来ないが、ひとりは金髪でチャラついた風貌をした若者と、もうひとりは濃い茶色のロングコートを身に纏う中年ぐらいだろうか。
見るからにアンバランスな組み合わせだ。
「久々に見るな、この砂……」
中年がそう呟きながらしゃがみ、砂に手を伸ばした。
あの砂、まだ掃除されてなかったのか。
人が滅多に通らない場所だ、気づくのが遅れていても無理はない。
元より、パッと見で騒がれる事はまずない筈だ。
「なんだよ、また先越されてんじゃねーかよ」
金髪はそう言うと、その砂の中心にある服を掴みポケットの中を探り始める。
「何してる」
「そりゃ、金目のもん探ってるんだよ」
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