オークとエルフの話

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エルフは基本的に美しい生き物として知られていたが、ロックが出会ったエルフは中でも殊更美しいと言って間違いないだろう。透けるような白い肌、髪はロックと同じブルネットであっても輝き、切れ長の深く青い瞳に見つめられるだけで人は魅入られ溺れそうになる。このエルフが言うには自分はエルフの男性体としては背が高く体格も悪い方では無いのだそうだが、オークの中でも目立って大きいロックからすれば華奢で可憐と言ってもいいような体躯だった。 名をロータスというエルフの青年は王族傍流で父が辺境を治めていたのだが(ロータスいわく)価値があるとも思えない退屈な田舎であっても権力争いはあり、父が病で隠れたあと跡継ぎのはずだったロータスは己の息子に地位が欲しい叔父夫婦の暗殺から逃れ、自分こそが正当な跡継ぎだと主張するべくエルフの王都を目指していたのだという。ロックは王都へ向かう旅路の護衛をロータスから乞われ承諾した。     
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